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第83回 募集!くろねこ求む!な絵本

またもや猫絵本で申し訳ないのですが、寒い時に読みたくなるお話です。
ころなころなで世間がぴりりとしていますが心が疲れていませんか。皆様、元気でいらっしゃいますでしょうか。手洗い・うがいを励行し、病に対する正しい知識を得て、冷静に過ごしましょう。(なんだかえらそうにやかましいこと言ってもうしわけございません・・)さあ心の休まる絵本をどうぞ。

「まほうつかいとねこ (チューリップえほんシリーズ)」 すずき出版 1995年11月5日発行 28ページ
せなけいこ/作・絵

 満月の晩、魔法使いの集まりがあります。その時、ほうきに黒猫を乗せてと飛んでいかなくてはならない、という決まりがあります。
ですので、ある魔法使いが「黒猫・募集」の広告をだしました。
雪の降るある寒い夜。
白い猫が魔法使いの家の戸をたたきました。
白猫じゃなくて黒い猫でないと駄目なのです。小さな白猫は寒くておなかがすいているというので、家にいれてあげる魔法使い。
雪が降り続くため、白猫はしばらく魔法使いの家に居候しておりました。毛糸玉を作るお手伝いをしたりとあたたかな時間がすぎていきます。
雪がやんで、白猫はでていこうとします。だって魔法使いが募集しているのは、黒い猫なのですから。迷惑かけないよう、身を引こうとする白猫ちゃんが好きだなあ。そこで魔法使いが名案をおもいつきます。
体をすっぽりおおう黒い毛糸で作ったセーターです。アタマまできっちりかぶる着ぐるみみたいなセーター、猫耳のかたちに編まれてすんごくかわいい。
猫の顔の部分はセーターからでているので、白猫だとばれそうなものなのですが、絵本なのでそんなこと私申しませんとも。ええ。
白猫ちゃん、ほうきを乗りこなすのに、苦労しています。ころりと落ちては、にゃーん・にゃーんといってます。特訓しましたがうまく乗れなかった模様、魔法使いにおんぶしてもらって集会へ。

そうです、やっぱりばれちゃうのです。焚き火のまわりをダンスして、暑くなってセーターを脱いじゃう白猫ちゃん。ああーっ、だめでしょうそれは。
ばれてしまっても、魔法使いは言います。「しろねこでも いいよ。だって、わたしの だいじな ねこだもの」
決まりを絶対に守るべき、などゴダゴダ言う人はいませんでした。
「そうね。なにいろだって ねこはねこ。それに セーターをきせると、とても すてきだわ」「そうだ、うちのねこにも つくってやろうかしら」
ファッションを選んだ・・とも言えるかもしれません。が、なんとも寛容じゃあありませんか。こうありたいです。大事なことは何か。猫の毛の色なんかどうでもいいのです。愛する猫とともに楽しく過ごせるかどうか、なのです。そもそもなぜ魔女には黒猫なんでしょうね?何か理由があるんでしょうね。調べてみたいと思います。

最後のページ、魔法使いたちがまた集会へと向かっています。カラフルなセーターを着た猫達を乗せ、ほうきで夜空を飛んでいます。黒猫はもちろん、白黒ハチワレ、赤茶やグレイの毛色の猫もまざってますよ。とても楽しい素敵な飛行風景です。
ちなみに・・・・白猫ちゃんは、ちょっと危なっかしそうだけれど、なんとかほうきに乗れるようになったようです。特訓したんですね。ほうきにがっちりしがみついているのがかわいい。
なんだかちょっと疲れた時に読みたくなる。たまらなく癒やされるとても大好きな絵本なのです。うちには、黒猫がおりましたため、さらに共感してしまうんでございます。



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第11回 こわいほん

関係ないんですけどわたし結構怪談が好きなんですよね。で、今回ご紹介したい絵本なのですが、怖い絵本は数あれど、ずば抜けて怖い絵本と言えば、コレ。トラウマ絵本の代表(といわれています)「ねないこだれだ」をご紹介いたします。

「ねないこだれだ (いやだいやだの絵本)」 福音館書店 1969年
せなけいこ/作・絵

 早く寝ない子は、オバケにさらわれちゃうのです。おばけと一緒に空を飛んでいくのです。オドシでなく、マジでつれていかれてしまうのです。
そんな絵本です。

表紙の挿絵は、典型的なおばけの造形ですが、なんやら狂気を宿した黄色い目が恐怖をあおります。オバケにさらわれた子はどこへ行くんでしょうか。普段は行けないような不思議なところでしょうか。想像もできないほど怖いところなんでしょうか。そんなオバケの世界へ引き込まれてしまうかもしれない危うさに、ぞくぞくします。こどもはまじでおそろしい、と感じると思います。実体験から、なおかつ蛇足であろうと思いつつも書いてしまいますが、それだけにお子さんへの読み聞かせには十分ご注意いただきたいと思います。

子供の頃は、二度と読みたくないと思ったものですが、大人になった今、不思議な世界に連れて行ってくれるおばけが結構いやかなり好きですね。ふつうの生活、平常心では見られない世界を垣間見せてくれるかもしれないから。でも安心しているのはおそらくそんな世界は遠いところにある・・と思っているからでしょう。ラストのページ、寝ない子はオバケになって、オバケと手をつないで飛んでいくのですが、なんだか楽しそうに見えるのは私だけでしょうか。私は幼児の時分から寝付きが悪かったので、そう思いたかったのかもしれません。