「世界でさいしょのプログラマー エイダ・ラブレスのものがたり(評論社の児童図書館・絵本の部屋)」
評論社 2017年5月発行 40ページ
フィオナ・ロビンソン/作 せなあいこ/訳
今回は伝記絵本をご紹介。
世界で初めてのプログラマーのひとり、エイダ・ラブレスのものがたりです。
エイダは、1815年に生まれました。エイダのお父さんは、詩人・バイロン卿。素晴らしい詩をたくさん書いていますが自由奔放・派手な暮らしを好み約束も守らないひとでした。お母さんは、アン・イザベラ・ミルバンクと言う名前で、公式や数字できっちりと物事を考える数学者でした。まったく世界が異なるそんな二人がどうして結婚したんでしょうねぇ。(大人の事情があったようですがそれはまた別のお話。)
お母さんは、バイロン卿のような夢見がちではちゃめちゃな人間にならないよう、幼いうちから数学を勉強させました。数学を勉強することでしっかりした人間に成長する、としんじていたのだそうです。 でも、エイダが数学に興味を持ったからよかったものの、まったく好きじゃなかったらどうなってたんでしょうねぇ。
時は19世紀前半。産業革命がおこっていました。燃料を燃やして作った熱を動力にして(蒸気機関といいます)、織物や鉄などを作る機械の能力が大幅におおきくなった時代だったんです。蒸気機関を使った乗物、蒸気機関車や蒸気船などが発明され交通網が発達し人や物が移動や流通が盛んになりました。蒸気機関を使った工場を見学するツアーが盛んにおこなわれていたのです。エイダももちろん見に行ったそうです。
エイダは、詩以外の勉強をみっちりしましたが、それでもお父さんに似たちょっと風変わりなところがあったようです。蒸気で動く空飛ぶ機械の馬を作りたい!と言っていたのだそうです。風変わりとかきましたが、もしそれが実現したら・・・。素晴らしい空想力ですよね。
大人になって、マイケル・ファラデー(電気に関する研究の科学者)、メアリー・フェアファックス・サマーヴィル(数学者×サイエンスライター)、チャールズ・バベッジ(数学者×技術者×発明家)など、人生に影響を与える様々な人たちと出会いました。
特に、チャールズ・バベッジから、科学の師匠として多くの教えを受けたのです。バベッジの発明品の「階差機関(ディファレンス・エンジン)」や「解析機関(アナリティカル・エンジン)」についての講演記録を翻訳しました。「ディファレンス・エンジン/アナリティカル・エンジン」とは、象より重く馬よりも背が高いという、蒸気を使って動かす非常に大きな計算機です。世界で初めて作られたコンピュータの原型といわれています。
このコンピュータを動かすことば(プログラム)をエイダは作らせてもらえました。当時のプログラムは、厚紙に穴があいたもの(パンチカード)でした。(点字とちょっと見た感じ似ています。)
バベッジは、このアナリティカル・エンジンを計算するためだけの機械と考えていたようですが、エイダはもっともっといろんなことができると考えていました。絵・音楽・文章までも、プログラムできると考えていたようです。その当時はびっくりするような考え方だったようです。でも、今そのとおりのことができますね。
空飛ぶ機械の馬という豊かな想像力は、数学の知識とともにとても大事なことなんですね。
知識とアイデアが融合し実現する(かもしれない)楽しさや希望をエイダ・ラブレスは教えてくれました。