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第72回 ねむれない という恐怖

「ねむれないふくろう オルガ」 偕成社 2011年2月発行 32ページ
ルイス・スロボドキン/作 三原泉/訳

眠れなくて困っているふくろうのオルガのおはなしです。明日は早起きしなくちゃいけない・・というときほど眠れなくなることのあるわたしですのでわかります。眠れないってほんと辛いですよね。焦れば焦るほど眠りから遠くなっていく恐怖。とても共感しながら読みました。表紙のオルガのハの字まゆ毛の困り顔が、かわいそうなんだけれどふふっと笑ってしまいます。

ふくろうのこどもならば、眠っているはずの時間なのですが、眠れないオルガ。片ほうの目をつぶると眠くなるはずなのに眠りはやってきません。こんどは反対の目をつぶってみますが、だめなようです。両方つぶって、がんばりますが、だめ。
物知りふくろうの長老がねぐらにしている木へ飛んでいって相談してみることにしました。
眠りについていたところ起こされて、迷惑そうな長老さま。
そうですよねぇ、寝てたのを起こされたら。わかる。でも助けてあげてほしいですよね・・・
長老さまの言う通り、片方ずつそれから両目をつぶって・・を試しても眠れません。
「そうか。きのどくだが、もう なにも おもいつかん」とさじをなげられてしまいました。
物知りの長老さまでもどうにも出来ない不眠。ますますあせりますよね・・

自分の寝床に帰って途方にくれていると、森の動物たち・・・しまりす、オポッサム、あおかけす、こまどり、つぐみ が集まってアドバイスしてくれます。親切ですね。
丸まって寝てみたら? 枝にぶらさがってみたら? つばさの下に頭をかくしてみたら? 細い枝につかまってゆ〜らゆ〜らしてみたら?
そして最後にはつぐみの子守唄。
文章とイラストが交互に書かれ、おかしみがあります。漫画のようです。それぞれのイラストがかわいくて面白い。わたしは、丸まって・・のイラストが一発芸のようでふきだしてしまいました。かわいくて一番好きですね

ルイス・スロボドキン(1903-1975)は、アメリカの彫刻家、作家、イラストレーター。エレノア・エスティス「元気なモファットきょうだい/(岩波書店)1941年発行」の挿し絵でデビュー。絵本は他にも「たくさんのお月さま(徳間書店)」「ピーターサンドさんのねこ(あすなろ書房)」「てぶくろがいっぱい(偕成社)」「ふたごのカウボーイ(瑞雲舎)」などたくさん発行されています。絶版ですが児童文学では「リンゴの木の下の宇宙船・シリーズ(学研)」もあります。