ターコイズブルーの闇夜に輝く月、そしてちょっとブキミなフクロウの表紙に惹かれ、手に取りました。夜のあいだに、いったい何が起きるのでしょうか。
「夜のあいだに」 ゴブリン書房 2019年6月発行 42ページ
テリー・ファン/作 エリック・ファン/作 原田勝/訳
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垣根は壊れ、窓には板が打ち付けられ、荒んだ印象のグリムロック通り。「こどものいえ」に住むウィリアム少年。
ある朝、すまし顔のフクロウの形に刈り込まれた木が出来上がっていました。そしてその翌朝は大きなネコが。人懐こそうなウサギ・きれいなインコ・楽しげなゾウなど、一夜明けるごとに、素敵な動物が形作られていきます。通りに住む人たちが、楽しみにしているのがわかります。ウィリアムも、朝になると大急ぎで見物にでかけます。大作のドラゴンが素敵です。夜には提灯を灯し幻想的になっているのがまた素敵。そして、ウィリアム少年は、夜のあいだに木々を刈り込んでいた庭師に出会い、お手伝いを頼まれます。公園にあるたくさんの木々を刈り込むのです!
そして町には秋がきて、謎の庭師が刈り込んだ木々の葉は落ちていき、もうその痕跡はみつかりません。けれどグリムロック通りに住む人々の気持ちに変化が生まれています。家の屋根や窓は修繕され、庭に植物を植え、お家の窓のウインドウボックスに花を飾り、子供たちは通りで遊びます。緑の木々と少しの工夫が人々の心を明るくしました。庭師のおじいさんからの刈り込みバサミという贈り物をもらい、暗い表情だった少年の顔にも希望があります。
グリムロック通りは、様々な国籍の人たちの住む町のようです。ウィリアムの家庭環境や謎の庭師の詳しい正体など、そういったことは言及されません。想像の予知があるので謎のままというのもいいものですね。