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第37回 不思議な理由で人口密度が高すぎる家

「ねずみのへやもありません」 岩崎書店 2011年7月発行
カイル・ミューバーン/文 フレヤ・ブラックウッド/絵 角田光代/訳

クリストファーはおかあさんと、大親友のねずみのスニーキーとで、なん部屋もある大きなおやしきに住んでます。
おかあさんは、山のように積んだ「やることリスト」のメモをたくさん持って、いつもいつも忙しそう。クリストファーの言うこともあんまり耳に入ってない様子。クリストファーはスニーキーと一緒に町を歩いていると、不思議な理由で家にいられなくなった人たちに出会います。植物に肥料をやりすぎてうちがジャングルになったご近所の女の人、水道の蛇口を閉め忘れてうちが海のようになっちゃった同級生一家、コンサートホールが蜂に占拠されてしまったオーケストラのみなさん、シロアリにテントを食べられガレキと化したサーカスの一団、宇宙飛行士、バレリーナ・サッカー選手・カウボーイ・消防士・海賊たち(泥棒さんもいる!)などなど、大きなおうちだから、全員うちにいらっしゃ〜いと招きます。たくさんの人が見開きいっぱいに描かれたページは見ごたえあります。

おもしろいのは、忙しいクリストファーのおかあさんが、部屋はもちろん廊下にも人があふれるほどいることに気がつかないこと。これだけ人口密度がたかくてどうして気がつかないんでしょう・・。(水道光熱費すごいことになるとおもいますけど、絵本を読みながらそういうことを言ってはノーです。)人がいっぱいで、ねずみのための部屋すらなくなってしまったのに! ついに、おかあさんはクリストファーが見当たらないことに気がつきます。(人が増えたこと、に言及はありません。)やることリストの一番上に「クリストファーとスニーキーを見つけること」とメモをのせて、1人と1匹を探し始めます。 最後にやっと探しあてたおかあさん、楽しく暮らそう! とメモをかきました。
はちゃめちゃな物語の展開が楽しくってたまりません。でも、忙しさにかまけて何か大事なことを忘れてやしませんか・・とチクリと言われています。ちょっとドキリとする絵本です。