化学同人さんは、自然科学関連の書籍を中心に刊行する科学書の出版社ですが、絵本も発行するちょっと?変わった出版社さん。かがく系ではない海外の読み物絵本を多く手掛けられています。その化学同人さん発行の絵本をご紹介いたします。
魚が入ったカップ(&ソーサー)をねずみたちが誇らしげにかかげている・・。いったいどんな物語!? 表紙で心を鷲掴みにされてしまいました!
「ひみつのさくせん」 化学同人 2022年5月発行 32ページ
ニコロ・カロッツィ/作 橋本あゆみ/訳
原著データ 「BRAVE AS A MOUSE」 Nicolo Carozzi 2021年
丸い金魚鉢に、金魚が一匹。
ねずみが金魚にごあいさつ。「ね、あそぼう?」
毎日ふたりはあそびます。鉢の中で一緒に泳いだり、ごはんをさしいれしたりと仲が良い。ねずみがストローへ吹き込む空気の泡のぷくぷくに金魚がたわむれているのがとってもかわいい。
◇化学同人ウェブサイトより(↓)
そんな楽しい日々に3つの怪しい影が忍び寄る。こ、この影は・・。
大きな黒猫。ドキドキしますね~。だいじょぶかなあ。
金魚から猫の気をそらすべく、ねずみは猫たちにつかまりそうなギリギリを走り抜け、駆け回り、キャットフードのある倉庫へとびこんで、危機一髪。
「むちゃだって ゆうきをだして つきすすむ。」仲間を助けたい、その一心。
キャットフードで今はお腹いっぱいな猫たちだけど・・またお腹が空いて目が覚めるでしょう。危機は続く。
またまたいい考えを思いつくねずみたち。
ティーカップ(&ソーサー)登場。金魚をカップにインして、ねずみたち捧げ持つ。
3匹の黒いいたずら猫たちが眠るソファの下を通り、人に見つからないよう道路を渡る、ああ、どきどき。
到着したのは小さな川の上の橋。この橋がシンプルなんですけど愛らしいんですよね。
ねずみと金魚の最後の握手です。「いいかな?」
「うん!」川へ放たれる金魚の心構えは十分。お別れです。
川に入った金魚、ジャンプ。おっ元気そうだよ。
ちょっと寂しい気持ちになるけれど、勇気をだして、苦難を乗り越えた先にあるものは・・・・
いいことであればいい。そうであってほしい。未来には必ず希望がある、と断言できない不安定な世界ですが、願わずに祈らずにいられません。