ワシリー・カンディンスキー(1866年-1944年)のものがたりです。
「抽象絵画」の創始者といわれています。
抽象画はなかなか理解されず、挫折を経験しつつ絵を描くことをやめませんでした。

「にぎやかなえのぐばこ カンディンスキーの うたう色たち」 ほるぷ出版 2016年9月発行 32ページ
バーブ・ローゼンストック/文 メアリー・グランプレ/絵 なかがわちひろ(中川千尋)/訳

ワーシャ(ワシリーの愛称)は、ロシア出身、裕福なおうちに生まれました。ですので、立派な家の跡取りとして、音楽や算数の勉強をたっぷりさせられていました。勉強のうちのひとつとして、おばが絵を描くことを教えてくれました。不思議なことに、絵の具をパレットの上で混ぜ合わせると音がしたそうです。さらに色んな色をまぜあわせると、音楽となりました。
レモン色のまるをかくと、ピアノの一番高い音。りりん りりん りんりんりん。
銀色のしかくはチェロの一番低い音。ずーん ずーん。
赤い線は波の音。ざっぱーん!
音楽にあわせて描いた絵を、両親はまったく理解してくれませんでした。絵を描くことを諦め、おとなになって、法律学者になりました。
あるとき、オペラで聴いた音楽が色となって頭の中で踊りだしました。
それはそれは美しかったのでしょうねえ。ワーシャは、やはり画家として生きたいと思うようになったのでした。
「わたしは、自分を解放した。家や木をかこうとは考えずに、パレットナイフでカンバスに えのぐの線や点をぬりつけて、できるかぎり力づよく、その色とかたちをうたわせた」
色から音が聞こえたり、音楽をきくと色が見えたり、言葉をみると味やにおいを感じたり、そのように感じる現象のことを「共感覚」というそうです。カンディンスキーもそうだったのではないかと言われています。

正直に申し上げますと、わたしも抽象画をどうやってみたらよいのかわかりませんでした。意味をみいだそうとしてしまうのがよくないのでしょうか。まさに「それは家?それとも花?いったい何をかいたのかさっぱりわからん」の状態でした。ですが、この絵本を読んで少し身近になったようにおもいます。
最後のページの訳者あとがきに「なんとなくひかれた作品だけをみることにしています。全部みると疲れてしまうので半分以上はパス。・・ まずは、なにも考えずにぼんやりと、音楽に身をひたすようなきもちで向きあうのが、私の抽象画のたのしみかたです。」
なるほど、全部を理解しようとしなくても、わからなくっても、いっそ見なくっても、いいんだな。なんだか安心しますね。
最後にカンディンスキーの作品が小さいですが4点も掲載されています。よろしければどうぞながめてみてください。
わたしは「白いジグザグ」が面白いなあと思えました。ちょっと進歩できたみたいで結構うれしいのです。