「エレベーター」 早川書房 2019年8月発行 317ページ
ジェイソン・レナルズ/著者 青木千鶴/訳 サイトウユウスケ/表紙装画

アパートの外で、友達とおしゃべりしていた。そこへ銃声が響く。
そんなときは、駆けだしたり、地べたに突っ伏したり、物陰に隠れたり、ぎゅっと身を縮こませたり。小さいころから叩き込まれている行動をとる。流れ弾があたらないように。
銃声がやんでもしばらく待つ。あたりが静まりかえったら身を起こし、いったい何人が殺されたかと、物陰から顔を出して通りを見る。
今日は、一人だけ。自分の兄だけだった。

掟1,何があろうと泣いてはいけない。掟2,密告はするな。掟3,愛する誰かが殺されたなら殺したやつを見つけだし、必ずそいつを殺さなければならない。
父から子へ、兄から弟へ、年長のものから年少のものへ。伝わっていく掟。

掟により復讐を誓い、兄が残した銃を腰にさし、エレベーターに乗って階下へと向かう少年。
友人、叔父、父、そして兄を、銃によって奪われている。けれど、掟は、復讐することは、殺人は、ほんとうに正しいのか?迷いながらも銃を手にする。階下を目指すエレベーターで出会う人々の言葉に耳を傾けてみましょう・・・・・

著者のレナルズの最初にだした本は詩集でした。この書籍も、詩のような、少年と会話しているような短い文章です。
愛するものを突然奪われる悲しみ苦しみが、ダイレクトにつたわってきます。
掟という名の憎しみの連鎖について考えたいとおもいます。
銃声がしたら、逃げろ、伏せろ、隠れろ。何度かでてくるフレーズです。こんなにも危険が身近であるのが恐怖です。銃の是非はすごく難しい問題ですが、銃規制のある国に住んでいることはやはりありがたいことだと感じました。