「はらっぱ」 童心社 1997年2月発行 36ページ
神戸光男/文 西村繁男/画
ある町のはらっぱ周辺を1934年から現代(この本の初版は1997年)までの60年間が描かれています。
始まりは、1934年(昭和9年)。第二次世界大戦の始まる5年前です。ページを開いて右下、日本はどのような状況であったか短い文章ですが書かれています。原っぱのまわりには、家々が描きこまれています。学校もすぐそばにありますね、木造の古い感じがよいですね。遠くまで、一軒家が建っているのがわかります。昔、日本語は縦書きでなく横に文字を書くする場合、右から左に文字を書いていました。看板が「店髪理キマ」となっています。はらっぱ沿いには溝があります。そういや昔は、溝や小さな川ってフタなんかされてませんでしたよね。幼稚園児の頃、側溝に三輪車ごと落っこちたことを思い出してしまいました。こわかったなあ。
描き込まれた絵をみるのだけでもうもう楽しいです。紙しばい屋のおじさんがやってきたり、ちゃんばらごっこ、ながなわ、めんこをしたり。みんな自由に遊んでいます。はらっぱは子供のためのものだけではありませんでした。盆踊りや子供相撲の大会が行われたり。時代がすすむにつれ、町は変わっていきます。学校は木造から鉄筋へ。道路はアスファルトが敷かれています。
時間は過ぎていきます。1941年、第二次世界大戦がはじまります。空から攻めてくる敵への備えの訓練をします。負けつづけの日本は食料難が続いているため、はらっぱで野菜を作ります。そして、大空襲が家々を焼き尽くします。学校と土蔵とお風呂屋さんの煙突を残し、すべて燃えてしまいました。
戦争のあと、どんどん復興し変わりゆく町。道は狭くなり、背が高くなっていく建物。ここのはらっぱはなくならず、まだ子供たちの遊び場です。今はまだ。