「鈴駅(はゆまのすず)」 くもん出版 2016年7月発行 352ページ
久保田香里/作 坂本ヒメミ/絵 寺崎保広/解説

日本の奈良時代、近江国が舞台のお話です。奈良時代は西暦700年代ごろ、近江国は今の滋賀県のあたりです。
ネットも携帯もない時代ですので、人が馬にのって伝言を運びます。大急ぎで走らせていると馬がつかれるのでおよそ16キロごとにある駅家(うまや)で馬を交換します。伝言を運ぶ人のことを駅使(はゆまづかい)といい、駅使であることの証として使者は、銅で出来た駅鈴(はゆまのすず)を持っていたのです。
駅家は、交換用の馬がいるだけでなく、宿屋でもありました。使者を隣の駅家まで送ったり、食事の用意、馬の世話をしたりと、駅家で働く人たちを駅子(うまやのこ)と言いました。
その駅子になりたいと憧れる少女「小里(こざと)」が主人公。馬をひいて次の駅家まで馬をひいて案内したり、馬をおとなしくさせたり世話をしたりするには、やはり体力が必要です。ですので、女の子には向いてない、と思う人がいるのです。現代とあまりかわりませんね。
最初は華やかな仕事しかやりたがらなかった小里でしたが、駅子の仕事はどういうことなのかを考えます。駅家を利用する人々のためになるように働くこと。女子には出来ぬと言っていた人たちも、少しずつ認めてくれます。
そして、駅使の少年「若見(わかみ)」との恋も少しずつ育まれます。
この若見が、アタマはいいのだけど体力はいまいちという感じでちょっと頼りなさそうなのがなんだかいいんですねー。若見が小里に歌を渡すシーンがぜんぜんロマンチックじゃないのですがいい。歌で恋のやりとりするのは、時代ならではでしょうね。すてきだなあ。
大地震が起きたり、駅家をおいだされてしまったり・・と様々な試練があり、読み応えもございますよ。気になった方、どうぞ手にとってみて下さい。

「駅」が「はゆま」「うまや」のどちらの読みなのか、読んでる途中で混乱したりしますが、面白い小説でした。
巻末に作品解説が面白くわかりやすいです。それを先に読んでおくのもいいかもしれません。
読み方リスト・・・・
はゆま:駅鈴(はゆまのすず)、駅路(はゆまじ)、駅使(はゆまづかい)
うまや:駅家(うまや)、駅子(うまやのこ)、駅長(うまやのおさ)