以前もご紹介した「古典と新作 らくご絵本」シリーズです。噺家の柳家喬太郎さんの新作落語が絵本になっています。都市伝説をネタにした落語です。昔流行った都市伝説なので、小さな人にはちょっとわかりづらいかもしれませんが、落ちでホロリとくる良作。落語としてはきっともっと膨らませて演じられるのでしょうね。喬太郎師匠の演じる噺もきいてみたくなります。

「ろじうらの伝説(古典と新作 らくご絵本2)」 あかね書房 2015年10月発行 32ページ
柳家喬太郎/作 ハダタカヒト/絵 ばばけんいち/編

たけしの幼なじみ、斎藤・山田が、たけしのお父さんの3回忌に集まってくれた。みんなで酒をくみかわし、こどもの頃の思い出話に花が咲きます。そして怪談話・都市伝説に話がながれていきます。
口裂け女・ヒバゴン・ツチノコ・ネッシー・クッシー・なんちゃっておじさん・・など。イラストが不気味で怖いのです。 口裂け女の口のはしっこが縫われていて特に見事な気味悪さ。夢に見てしまいそうな迫力。
山田が実際に会ったという、「風邪ひくなおじさん」の話に。塾の帰り、コーラを飲みながら歩いていた。路地裏の一本道、向こうから男の子が歩いてくる。こんな時間にまだ塾へ行くのかな、と不思議に思う。すれ違う時、子どもと思えない大人のような低い声で「そんなもんばっか飲んでると、腹壊すぞ」。驚いて振り返ると、男の子はどこにもいなかった・・・。山田くんは、それ以来コーラが飲めなくなってしまったが、もういい年をした大人なのでトラウマを克服したいと、練習で飲んでいるのだという。
気分を入れ替え、居酒屋へ行って飲み直そう!となり、そして形見の品を取り出そうと、押し入れを開けます。押し入れの中には、スコラ、ガロ、平凡パンチ、宝島といった懐かしの雑誌が描き込まれていて思わず笑ってしまいます。そして、おやじの日記をみつけます日記なんて見ないほうがいいのですが、見ちゃうんだなあ。
そこには、お父さんの心配の言葉が書かれていました。息子や息子の友人たちが半袖・半ズボンで、風邪引かないか・お腹を壊さないか、と。
いくら注意しても、薄着の子供たち。業を煮やし実行にでます。大人の言葉が耳に届かないなら、息子の服を着て、子どもとして注意しよう。
そう、「風邪ひくなおじさん」の正体は、たけしのお父さんだったのでした。ちょっといえかなり迷惑ですけどオヤジの愛情を感じます。不器用すぎますよね・・・。でも友人の父の3回忌に集まるというのですから、たけしのとうちゃんはやはり人気があったんでしょう。
そして、居酒屋で盛大に飲み直した帰り道、たけしは、路地裏の一本道で、子どもとすれちがいます。
「あんまり飲みすぎると体壊すぞ」子どもと思えない低い声。振り返ると、そこには誰もいませんでした。