九州・鹿児島県の種子島の「宝満の池」が舞台のお話です。
河童は、川を主な棲家にしているようですので、淡水魚なのだと思っていたのですが、島にもいるということは、海水も平気なのでしょうか。塩気はカッパには悪そうなイメージなのですが。

「ほうまんの池のカッパ」 BL出版 2018年2月発行(もとは1975年3月に銀河社から発行されておりました)
椋鳩十/作 赤羽末吉/絵

たいそうな力持ちの男がおりました。名前は、とらまつ。どれくらい強いかと言うと、シカを手づかみで生け捕り、おうしをねじ伏せるほど。島で俺にかなう者などいないだろう、とおおいばり。
ある日、釣りにでかけ、鯛をたくさんたくさん釣りあげました。力だけではないぞ、釣りだって島一番の名人じゃ、とますますいばっているのです。
そして、帰り道、ほうまんの池をとおりかかり、(案の定)おかしなことに出会って、鯛をとられてしまいます。足が地面がくっついて、はがれません。地面から、ぬくりんぬくりんと腕が伸びて、魚をもっていかれてしまいました。とらまつの悔しさもちょっとわかりますね。おすそわけするべきだったんでしょうね。近所づきあいの難しさ。
ここで、負けるとらまつじゃない。こんどは、沸かしたてアッツアツのお湯と、呼び寄せるためのエサとしてテンプラを持って、ほうまん池へ。また足止めされますが、熱湯をぶっかけます。熱くてカッパが「チチ チ」と叫んでいます。カッパの鳴き声ってこうなんですね。ちょっとこわいです。しかし、頭突きで仕返しされ、この勝負も負けてしまいます。さあ、次は最終ラウンド。どうなるか・・・・・!

最後の戦い、やはり、とらまつはカッパには勝てません。だってカッパは妖怪なんですもの。妖怪が妖怪たる様が描かれてます。おそろしいのですがそこが面白いです。人間は妖怪に勝てっこないのです。妖怪には、やはり敬意を払わないとダメなのですよね。個人的にこわいのが、「ぬくりん ぬくりん」と腕が伸びたり、「ちりちりちり」と小さくなったり、「どぼりん どぼりん」と大きくなったり、という擬音。ちょっと違うんだけどぎりぎり想像可能な、でもどこかずれた感じが不気味をかもしだしているように思います。

アタマのお皿が乾いたら弱くなるらしいとか、キュウリが好きとか、相撲をとるのが好きだとか、架空の臓器シリコダマをとったり、酒を飲むお色気カッパのテレビCM(大人にしかわからないでしょう。古くてすいません)などで、身近で愛嬌ある妖怪だとおもってたのですが、この絵本を読んで、原点に戻ることができたように思います。妖怪はこわいもの。恐怖が形になったもの。
赤羽末吉さんの挿絵もたいへん迫力があります。最後のシーン、私もとらまつと一緒に逃げたくなります。びびりな私は、そもそもほうまんの池に近づけませんけれど・・。