スクラブルというのは、文字タイル(コマ)をならべて単語を作るゲームです。使うアルファベットやコマの置く場所によって得点が加算されます。
今回ご紹介するのは、このゲームをからめた物語です。

「セブン・レター・ワード 7つの文字の謎」 評論社 2017年10月発行 358ページ
キム・スレイター/作 武富博子/訳

14才のフィンレイ。2年前、母が別れを告げることなく家を出ていってしまい、父はそのことを話したがらず、仕事ばかり。引越し先では、吃音がひどくなってしまい、友達ができずいじめにあっている。過酷な状況にいるフィンレイの唯一の心の支えは、母が教えてくれた言葉のゲーム、スクラブル。放課後に学校でスクラブルをすることになり、マリアムと知り合うが、彼女もまたヘッドスカーフをしていること・移民であることを理由に、差別や言葉の暴力を受けている。オンラインゲームのスクラブルで対戦したアレックスとは友達になれそうな上、しかもいなくなった母の行方の手がかりを持っているかもしれないことがわかってきます。そして、スクラブル大会への出場も決まって、どんどん物語の緊張がたかまっていきます。

吃音のため、言葉を口にだすのが難解なフィンレイが、スクラブルに熱中するのは、とても心が苦しいからなのでしょうね。いじめ、ひどくなる吃音、母に捨てられた苦しみなどで、押し潰されそうなのに、父が一緒にこの状況に向き合ってくれないのには、読んでいて辛かった。お父さんもこの状況に打ちのめされ立ち直ろうとしていたとわかり、ほっとします。スクラブルを通じて知り合ったパキスタンからの移民であるマリアムもヘッドスカーフをつけ続ける強い意思を持つ少女です。彼女の応援が心強い。友達が欲しくて、ネット上の”知り合い”を信じきってしまう、という切羽詰まった状況が怖かったですね。お母さんの失踪の理由を探るミステリ部分も読む手をとめられません。