「すてきなよるに」 ブックローン出版(BL出版) 1997年2月発行 32ページ
ヴォルフ・エァルブルッフ/作 上野陽子/訳

ヒキガエル・ドブネズミ・コウモリ・クモ・ハイエナ、というあまり光の当たらない動物たちが主人公です。見た目が美しくない、と自信を失ってナーバスになっている模様。
橋の下の川べりを、まんまるお月さまがお芝居の舞台のように明るく照らしています。着物を着たなかなかおしゃれなヒキガエルのお嬢さんが鏡をのぞきこみ、顔のイボを気にしてため息をついています。そこへ、ドブネズミが「おれたちはきれいになりはしないぜ」と自虐の一言を鋭いナイフのように投げかけ登場。そしてクモ、コウモリも登場しお互いを威嚇しあっています。
最後に登場したハイエナのみ、かなり前向き。「かっこわるいとか、きれいだとか、人がどうおもってるなんて、ぜんぜん、関係ない。大切なのは、なにをするかだ。なにかをするべきだよ! 自分のために。そして、人のために!」
ハイエナ氏は、サキソフォンをとりだし奏でます。素敵な音楽でお互いにわかりあってきます。ドブネズミはウクレレをつまびき、クモが歌って、コウモリが心を込めて口笛をふきました。それぞれが得意なことで力をあわせて美しい音楽を作りました。歌も楽器も苦手なヒキガエルは、わたしはパンケーキが焼けるの!ととうとう口を開きました。それを全部あわせたら・・、何かできそうです。音楽演奏とパンケーキのお店なんかどう?
毎晩、素敵な夜がやってきます。
前向きな気持ちでいることが大事ですよね・・。そして自分のため、人のために。「自分のため」はあっても「人のために」という言葉はなかなか言えないように思います。勇気を持てそうな絵本。

ヴォルフ・エァルブルッフは、ドイツの作家。ほかにも、心配症が開放されるお話「マイヤー夫人のしんぱいのたねは?」死がテーマの「死神さんとアヒルさん」など。