「おっきょちゃんとかっぱ (こどものとも傑作集)」 福音館書店 1997年8月発行 31ページ
長谷川摂子/著 降矢奈々/絵

「きよ」 というのがほんとの名前なのだけれど、おきよちゃんがおっきょちゃん、と言いやすく縮まりました。
おっきょちゃんが一人で川で遊んでいると、お祭りに遊びにこんかと子かっぱのガータロに誘われた。赤い帯と金魚模様のかわいい浴衣に着替え、手土産にキュウリを持参。そのおかげで、キモはとられずにすみ、かっぱたちにもてなされます。やはりカッパにはキュウリなのね。気の利く子です。かっぱの甲羅やお皿や髪が個性的で楽しい。つるくさのハッパのメガネをかけたのもいます。魚のかたちのきれいな泡の出る水笛、太鼓のまわりで踊ったりとガータロと共にお祭りを楽しみます。幻想的でとても美しいです。

カッパの世界のたべものを食べてしまったため、父さんや母さんのことを忘れてしまい、人の世界に戻れなくなったおっきょちゃん。記憶を失うのは少し怖いですね。異世界へ行くということはやはりなんらかのリスクがあるということなのでしょうか。しかしガータロの両親が我が子のように可愛がってくれ、何日も何日もたちました。ある日、水面を流れる赤いベベを着たお人形を見つけ、とうとう人間だったことを思いだします。家に帰りたい、母さんのところへ帰りたいよう、とおっきょちゃんは泣き出します。お人形は、川で死んだと思われたおきよちゃんへの贈り物だったのでしょうか。異界である川からヒトの世界へ帰る呪文がスイカを使ったものであるのが、面白く興味深い。カッパがおっきょちゃんを人間の世界へ、何の代償もなしに家へ返してくれたのは、ガータロとガータロの両親の愛情ゆえでしょうか。ガータロとおっきょちゃんの別れのシーンに胸が震えます。降矢奈々さんの豊かな想像力で描かれた挿絵がとても美しいです。良い絵本でした。
川の中の情景がとにかく涼しそうで、体感温度が2・3度下がるような心持ちがします。夏読むといいですねえ。