「生命の樹 チャールズ・ダーウィンの生涯」 徳間書店 2005年6月発行 40ページ
ピーター・シス/文・絵 原田勝/訳
原著「The Tree of Life」 Peter Sis 2003年

博物学者、地質学者にして思索家、チャールズ・ダーウィンの生涯を描いた絵本です。
ページいっぱい緻密に描かれたイラストが読み応えがあります。
まずは、チャールズ・ダーウィンの生い立ちから。
父の望む医師や牧師という職業が好きではなく、植物や生き物や化学の実験に興味がありました。
南アメリカを調査するための船「ビーグル号」に博物学者として乗船するために、父を説得しますがその方法が面白いです。父の反対する理由を書き出し、母方の叔父にその反論を書いてもらいました。母方の祖父は、陶器メーカー”ウェッジウッド”の創業者なのですね。

それからビーグル号のこと。
ビーグル号の探検の出来事がみっしり描かれています。ダーウィンの旅日記とともに、乗船の費用や携行品、スケジュール、航跡、船の見取り図も!旅行中のハプニング、出会った異国の人々、植物・昆虫・鳥・猿・蛇などを標本にしたり、化石をほりだしたこと、ガラパゴス諸島での発見、などなどなど・・ 1831年12月27日~1836年10月2日、約5年の旅でした。
旅の終わりの方の日記には「わたしは憎み、かつ、呪う。海を、そして、海を行くすべての船を。」5年も船に乗ってるとそう思うようになるのでしょうか、もう船旅はうんざりだ、といった調子の文章があり吹き出してしまいました。わたしも一ヶ月ほどバイクで長期旅行をしましたが、天気の悪い日には旅することに疲れを感じることがありましたので共感しました。

そして探検ののち。
英国に戻ったダーウィンは、ビーグル号での調査での発見で、生物たちは様々な厳しい自然の環境により長い時間をかけて変化=進化していくのではないか(自然選択説)、いう説をかんがえたのです。
「地球上の生物は、何億年もかけて、一本の木が枝分かれするように生まれてきた。いわば、生命の樹である。」
化石や動物の分布などを観察し事実を積み重ね、1859年に『種の起源』をかきあげました。
「当時はまだ、あらゆる生き物は、神が最初から今の形に創造したと信じられていました」から、ダーウィンの説は非常に強い反発がおこり、大論争が起きます。「まるで自殺を告白したかのような気持ちです」神の教えに背くと感じるダーウィンの苦悩も描かれています。
「たとえ自分ではどんなに気に入っている仮説でも(しかも、わたしはあらゆる問題について仮説をたてずにはいられないのだが)、それに反する事実が明らかになれば、すぐにその仮説をすてられるよう、つねに心を自由にしておく努力を重ねてきた。」
一本芯の通ったこの考え方は人生の教訓としても忘れないでいたいとおもいます。

絵本としてはかなりの情報量ですが、ダーウィンの生涯について、さらりと要点把握できました。独特ですが美しい緻密な挿絵、小さめな文字でたくさんのことが、書き込まれてじっくり眺めて楽しめます。ご興味持たれた方はぜひどうぞ手にとってみてください。ですがやや老眼を感じるこの目には少々つらかったかな。拡大鏡を準備されておくと便利です。
けれど、たった160年ほどまえのことなんだなあ、とも感じました。人間の進化はどこまで行くのでしょうか・・

ピーター・シスの他の本に
「夢を追いかけろ」「星の使者」「飛行士と星の王子さま」クリストファー・コロンブス、ガリレオ・ガリレイ、サン=テグジュペリなどの伝記絵本
「かべ:鉄のカーテンのむこうで育って」チェコスロヴァキア生まれのシスの自伝的絵本
「マドレンカ」ニューヨークで暮らす女の子マドレンカの楽しいシリーズなど、たくさんあります。