「はじまりはたき火 火とくらしてきたわたしたち」 福音館書店 2020年1月発行 48ページ
まつむらゆりこ(松村由利子)/作 小林マキ/絵

エネルギー問題を扱った本です。
はじまりは雷が落ちたあとに残る火。動物は火を恐れましたが、人間は恐怖に打ち勝ちました。そしてそれを利用しはじめました。身体を温め、食べ物を加工したり、土を形作って焼きうつわを作るようになったのです。
石を熱し銅や鉄を熱して金属を取りだし、いろんな道具をつくることができるようになり、人間の技術はどんどん進歩しました。
火を作るには、燃料が必要になります。燃料確保のために森を切り倒します。それにより土地が開け、町ができ、人間は増え続けます。けれど、一本の木が大きくなるには何十年も必要なのです。
『人間はとうとう、自然のめぐみには限りがあることに気がつきました。』
かわりに石炭・石油・電気という新たな燃料を発見し、効率よく使うための技術ができ活用されるようになりました。
車や飛行機が開発され短時間で長距離を移動できるようになり、エアコンや暖房器具によって快適に過ごせます。電気によって機械が進化し、パソコンやテレビでたくさんの情報にアクセスすることができるようになりました。どんど便利で快適に過ごせるようになっています。
けれど、水・空気・土などの環境を汚しながら、わたしたちは生きているのです。
便利で快適な暮らしをやめることはとても難しいですが、世界の環境の保全と未来を見据えて、今後わたしたちはどうしていくべきか、考えていかねばなりません。

『わたしたち人間は、エネルギーをつかわずに生きていくことはできません。けれども、エネルギーをたくさん使う暮しが、本当にゆたかな暮しとはいえないことに、やっと気づきました。そして、地球のめぐみを大事にしながら、エネルギーをつかいつづける暮し方をさぐりはじめています。人間と火をめぐるものがたりの続きは、まだ、誰も知りません。これから、ひとりひとりがつくっていくのです。』
最後には、限りあるエネルギー、増えていく人口、発電をめぐる問題など、解説があります。巻末の「世界のエネルギー消費量」の図をみると、1950年ごろから消費量が急上昇しています。そら恐ろしく感じます。

作者の松村由利子さんは、新聞社で科学環境部の記者をつとめられました。歌人でもあります。
「31文字のなかの科学(NTT出版ライブラリーレゾナント)」科学者が医療や科学技術の進歩への迷い・苦しみ・楽しさを詠った短歌の選と解説をされています。実はわたし、詩歌の愉しさがちょっと分かりづらいのですが、この短歌集は楽しめました。歌と科学ってかなりあうんだなあ。こちらも興味持たれましたらよろしければお手にとってみてください。