よるのまんなか、ちょうちょも ありんこも ゆめのなか。
よるのまんなか、くさもきも みいんな みんな ゆめのなか。
みんな眠っている静かな夜に、目を覚ました「れいぞうこ」「かまきりくん」「みずたまり」「あかちゃん」「チューリップ」の5つの夜のおはなしです。
夏に読むと、気温がすこーし下がって涼しくなるような気がします。暑くて眠りづらい夜にいかがでしょう。

「よるのまんなか」 理論社 2019年9月発行 56ページ
おくはらゆめ/作 絵

「れいぞうこ」のおはなし
夜に目を覚ましたれいぞうこ。静かな夜だとぶ~んぶ~んとうなっているのがやたら気になる冷蔵庫は、夜起きてきそうなイメージですよね。うまいとおもいます。
さんぽにいこうかな、と冷蔵庫がのしんのしんと歩きだすのには、ちょっとびっくりします。野原にたたずむ冷蔵庫のうしろに電源コードがのびている、そんな挿絵がかわいらしい。
宇宙の図鑑を持ち出して、月や星座のページを見ながら空を見上げます。
「みえないけれど、うちゅうには もっと いろんな ほしがある」
そうつぶやいてどきどきする、れいぞうこ。
ああ、この冷蔵庫と友だちになりたい、とおもいました。
トマトのくだりのオチもいい。あっトマト食べたくなっちゃった。
「かまきりくん」
透きとおるような黄緑色の肌。なんでも切り裂けそうなとがった指先。きらりと光るつぶらな瞳。そんなかまきりちゃんに恋する、かまきりくんのおはなし。恋のせいで夜に眠れないかまきりくん、昼間に眠ってしまい夜に目が覚める。朝と夜が反対になってしまったのです。
月を見ても蝉が鳴くのをきいても、あの子をおもいだしてしまうので、恋の俳句をたくさんつくる、いつかきっと気持ちを伝えようと。
カマキリの恋は命がけ(交尾後、雄は雌に食べられることがあるそうです)とききますので、読んでいてなんだかドキドキするのです。・・・・かまきりくんに幸あれ。
「あかちゃん」
夜の真ん中、あかちゃんが静かに目を覚まします。外からうたが聞こえてきた。ふしぎなふしぎなうた。
けむくじゃらでくまみたいな大きな大きな生き物が浮かんでいます。目と足がたくさんあって、どこまでも長い足、ぎざぎざの歯が月でぎらりと光ります。 ここでホラーになりそうですが、だいじょうぶだいじょうぶ。
けむくじゃらの手が伸びてきてあかちゃんのからだをつかむと、そのまま外へ連れ出します。
すわピンチか、とおもうところですが、なんとも優しいいきものです。その大きな生き物のむなもとには、けむくじゃらのあかちゃんがいるので怖くなんかありません。目を にやり、とさせるそのあかちゃん、いたずらっこのかお。
けむくじゃらおかあさんは、ふたりをゆったり包み込むように抱いて、やさしいやさしい不思議なうたをうたってくれます。
寝る前に読むと、すぐに眠たくなりそうなこのお話が、寝付きのよくないわたしは特に好きです。わたしのそばでもうたってくれないかしら。
他の2つ「みずたまり」「チューリップ」も、楽しいお話です。
まよなか、じゃなくて「よるのまんなか」という言葉が不思議で楽しくてうつくしい。
夜の静かな時間のおはなし、想像力が広がります。おやすみ前にぴったりとおもいます。

作者のおくはらゆめさんは、絵本「ワニばあちゃん」でデビュー。ワニばあちゃんと鼻の穴にくらすありじいちゃん。不思議系な楽しいお話。なぜか関西弁のワニばあちゃんがかわいい。
おすすめは
「くさをはむ」朝昼夜、毎日毎日、草をはむ、シマウマの一日。草の気持ちになってそよそよとたつシマウマのこどもが楽しい。
「わたしといろんなねこ」余計な一言を言ってしまうあやちゃん、友だちが大好きなアイドルの話ばかりするのにいらっとしてしまってケンカしてしまいました。あやまりたいけどどうしても言えなくて悩んでいます。おうちへ帰ると、部屋のドアに大きな大きな猫がなぜかはさまっています。大好きな猫や亡くなった祖母のおはなしに絡めて友だちを大事にする方法を一生懸命考えていきます。友だちつきあいがちょっと不器用なあやちゃんと不思議な猫の素敵なお話です。
ほかにも「チュンタのあしあと」「まんまるがかり」「バケミちゃん」「やすんでいいよ」「シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる」など著書多数。