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第196回 「ありがとう」はむずかしい

『テオの「ありがとう」ノート』 PHP研究所 2016年3月発行 220ページ
クロディーヌ・ル=グイック・プリエト/著 坂田雪子/訳
原著「Non Merci!」2008年

障がいのある少年テオの物語。

 

12歳の少年テオは、障がい者支援施設で暮らしています。
車椅子に乗る時、トイレに行きたい時、ベッドに横になりたい時、部屋を移動したい時、1階から2階へ移動したい時、外出する時、食事の時などなど、何かしたい時に、いつもいつもいつもいつもいつもいつも!「~~していただけませんか?」と介助者にお願いしなくてはいけません。頼みごとをしてくれたときに、「ありがとう」と言わなければならないことに嫌気がさしたテオは言うまい!とがんばります。頼みごとをした時に言ったお礼のありがとうと、誰かのために何かをした時にありがとうと言ってもらえた回数をノートにつけはじめます。テオ自身が人のためになるように努力しはじめます。テオは自立したいのですね。
私はどんくさくてとにかく失敗が多く、なちぐろ堂店主にお願いしてしまうことがたくさんありますので、とても共感しました。お願いする時、とても心苦しいのです。だから、その気持ち、よくわかります。

テオの弟には障害がありませんので介助してもらえる兄ばかり大事にされているように感じています。その気持ちもわかりますねえ。難しいですねぇ~。
お母さんも苦しんでいます。テオの父も歩み寄る努力をしているのですが、テオはお年頃の少年で、身体の発達もあってなかなか難しい。
祖父・祖母が障害について理解あるのが読んでいてほっとします。車椅子卓球をして頑張るテオが素敵。ガンバレ~と応援したくなります。
移動時にたくさん物を積んで移動できるように、車椅子にたくさんのカゴや袋を取り付け改造しています。興味深いですね。車椅子にはアルベールという名前をつけていて、かわいい少年です。テオがずっと小さい頃に使っていた1台目の小さな車椅子はどこにいったんだろう、と探すのにはなんだか胸が苦しくなりました。

洗面用のミトンを使って顔を洗うとかいてあり、それってなんだろう?と思いました。タオル生地で肌触りがよく、素手よりもしっかり、ボディタオルより優しく洗える、んだそうです。
ブログを書くにあたり調べましたところ、「しょうがい」は、「障がい」「障害」「障碍」どのように表記するのがベターなのか議論されているとのことです。
2013年フランス最優秀障がい者書籍賞(児童書部門)受賞作。