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第175回 てのひらのあいさつ

「てのひらの あいさつ」 あすなろ書房 2020年7月発行 32ページ
ジェイソン・プラット/文 クリス・シーバン/絵 なかがわちひろ(中川千尋)/訳
原著「THREE SQUEEZES」 Jason Pratt, Chris Sheban 2020年

17.5×17.5cmのこぶりの絵本ですが、大人向けとおもいます。こどもの成長を見守る親の物語なのです。特に、息子である人や育児にたずさわるお父さんにぐっとくるのじゃないでしょうか。
生まれたばかりの子どもは、歩けないし言葉も通じない。でもおもわず見惚れてしまう輝きがある。暗闇を怖がることも成長。高いところから飛び降りて怪我してしまうことも成長。
きみがかなしいときには背中にとんとん手を当てる。肩をぽんぽんとたたく。言葉はなくとも伝わる気持ち。
野球のキャッチミス、アイスクリームを落っことしたり、いいことばかりじゃない、そんなときは、ちょっぴりらんぼうに頭をごしごしなでる。
てのひらをそえて支えてきたけれど、きみはいつしか大人になって見守りを必要としなくなるときがくる。そして守るべきものができたとき、次はきみが息子や娘に、手のひらをそえ愛情を伝える。
伝わっていく愛情が優しくてじんわりきます。