挿し絵がとてもきれいなバーバラ・マクリントックをご紹介したいとおもいます。
舞台は19世紀頃の町並みとクラシックな装いです。女性は羽根を飾った帽子と長いドレス、男性は山高帽。車道には、馬車が走っています。
経済的に豊かではありませんが、仲良く暮らす芸術家の父と娘の物語です。
「ダニエルのふしぎな絵」 ほるぷ出版 2005年9月発行 32ページ
バーバラ・マクリントック/作 福本友美子/訳
ダニエルは絵を描くのが大好きな女の子。
シルクハットをかぶった鳥、翼のはえたカエルなどおしゃれな服を着た動物たち、といった想像力の豊かな絵をかきます。そしてお父さんは、写真家。ダニエルのファンタジックな絵を見ると「目に見えるとおりに描けないなら写真にしたほうがいい。」見たままの世界に付け加えるものはない、とおもっているんですね。だからお父さんは、ダニエルの描く絵が理解できないのでした。感性の違いであって、どちらが良い・悪いということはないはずです。写真のように見えるままに描けないダニエルは、大好きなお父さんをがっかりさせるのがとても苦しい。苦しいけれどどうしても写真のように描けず想像力を付け足してしまいます。木の葉の落ちた寒々しい木々は大きなバラが咲き誇った姿に。 羽根飾りのついた帽子のレディは、カラスのレディに。帽子にはリボンや帽子をつけた小さな鳥(カラスのひな?)がたくさんおすまししています。すごく重そうですがだいじょうぶ? レディのつれた子犬は金色の四足歩行の魚になっています(これはちょっと不気味なのです)。 馬の石像は、羽根のある馬・ペガサスに。 紳士は、立派なしっぽの狐。 キリンの女性の帽子にはパイナップルや人参とセロリらしきものが飾られています!
ほんとに、豊かな想像力が素敵。見る人を楽しませる挿し絵とおもいます。写真を否定する気はないのですけれど、気持ちがあたたたかになる挿し絵のほうが、わたいは好きだなあ。
そんな時、お父さんが病で寝込んだりとトラブル発生。お父さんを助けたいとダニエルは売るための写真を撮りに、お父さんのカメラを持ってでかけます。この健気な頑張りに胸うたれます。そして幸運にであうことができたのでした。
最後に父は、ダニエルの表現したいことを理解してくれます。「この子はこの子で、自分の道をみつけたんだな」
理解を示すダニエルのお父さんに胸がぐっときてしまいました。ダニエルはすばらしい才能を心置きなく伸ばしていけるでしょう。