「きつね、きつね、きつねがとおる(ポプラ社の絵本2)」 ポプラ社 2011年4月発行 32ページ
伊藤遊/作 岡本順/絵
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大人は見ることができるのに、小さな子どもには見えないものがある。
例えば、たくさんの人がいる向こう側。レストランの高いカウンターの向こう側。人や物があるせいで見えない。
でも、子どもにしか見えないものもあるのです。
夜、川べりのせまい道を、家族で歩く。お父さん、お母さん、女の子・男の子の子ども二人。
あちらから、きつねたちが様々に着飾って、歩いてくる。神主さんと白無垢・紋付き袴を着たきつねの嫁入り、皿回しや南京玉すだれを披露するきつねの大道芸、卵をお手玉したり火を吹くフライパンを持つコック姿のきつねの料理人たち、牛車と束帯姿のきつねのお祭り。
狐火が、川面と狐の行列を照らす。
おかあさん、おとうさんには見えない。子どもにしか見えない、華やかで美しいあやかしの行列がとても魅力的です。
最後、家族はタクシーに乗りますが、タクシーのマークがきつねの提灯みたい・・・。お家へ帰れるのでしょうか。それとも異界へ連れて行かれるのでしょうか。
きつねたちの美しい行列を見に、異界へ行けるのならそれもまた良いのかもしれない。